遺産分割のやり直しはできるのか
1 遺産分割は原則としてやり直しができない
遺産分割は、いったん当事者全員が合意して成立すると、原則としてやり直しはできません。
そのため、遺産分割協議書に署名押印する際には、財産内容を確認し、よく検討して行うべきです。
あとから「合意内容をよく読んでいなかった」「勢いで署名してしまった」などと主張しても、約束した内容を覆すのは困難です。
ただし、例外的にやり直しができる場合があります。
2 全員が合意した場合
全員がやり直しに合意すれば、再度協議することは可能です。
しかし、通常は、せっかく合意したのだから、労力をかけてあらためて協議したいと思わないことでしょう。
やり直しに合意する場合とは、たとえば、当事者間で協議書を作成したあとで、専門家に相談したところ、別の方法をとった方が法律上や税金面でのメリットがあることがわかり、再度協議するといった場合が考えられます。
遺産分割協議のあとで事情が変わり、他の分割方法がよくなったということもあるでしょう。
追加費用や税金面なども考慮し、メリットがあれば、全員の合意により遺産分割のやり直しに至ることがあります。
3 相続人が漏れていた場合
相続人が一人でも欠けていると遺産分割は成立しないということになります。
その場合は、改めて、全相続人で、遺産分割のやり直しをすることになります。
4 相続財産などについて重大な錯誤があった
遺産分割時に相続財産などについて重大な錯誤があった場合、その財産の存在があることがわかっていたら遺産分割に合意しなかったであろうと認められる場合などは、錯誤無効を主張することができます。
この場合、錯誤が認められれば、遺産分割のやり直しをすることができます。
通常は、訴訟による解決をはかることが多いでしょう。
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